アディダスのスニーカーを履いて事故り、重症を負った男性がアディダスを提訴

最近、武田製薬がアメリカで6,000億円にものぼる損害賠償請求を起こされたニュースを見て、「アメリカ恐ろしか~!」と思っていましたが、どうやら日本も訴訟大国への道を着々と進んでいるようです。

と思ったのは、アディダスのスニーカー(リーボックブランドのイージートーン)を履いていたら転んで重症を負ったから、賠償しろ!という訴訟を横浜の男性が起こしたという報道を見たからです。


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イージートーンの事故訴訟の概要

求める損害賠償額は2,300万円。上手く行けば、投資用のマンションくらいなら買えますね!

・・・と、「たぶん『トンデモ裁判』だろうな」と思って詳細を確認してみたのですが、どうやらそうでもないみたいです。

以下、カナロコ(神奈川新聞ニュース)さんから一部引用です(文字装飾は筆者が加えています)。↓

靴底を不安定にすることで、筋力向上などをうたったトレーニングシューズリーボック イージートーンを履いて転倒し、重傷を負ったとして、横浜市港北区の男性(59)が製造元のアディダスジャパン(東京都港区)に約2300万円の損害賠償を求めて横浜地裁に提訴していたことが20日、分かった。同日開かれた第1回口頭弁論で、アディダス側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

イージートーンは靴底に空気が注入された構造で、傾斜や不安定な状態を意図的に作り出した靴。「エクササイズ効果を生み出す」などの宣伝で人気を集めている。(後略)

横浜の男性がアディダスを提訴、シューズで転倒、重症カナロコ|神奈川新聞ニュース

ちなみに

リーボックとアディダスは別メーカーだと思っていたのですが、2005年にリーボックがアディダス社に買収されて以来、リーボックはアディダスの一つのブランドになっています。

イージートーンってどんな靴?調べると色々出てきた

リーボックのスニーカー「イージートーン」裁判で問題となっているのは、「リーボック イージートーン」という運動靴のシリーズです。

のように、靴底の形状が特徴的なスニーカーです。

Photo by Mauritz.dahl (Own work) [GFDL or CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

リーボック公式サイトには、まるでバランスボールを履いているような感覚。とか普段の歩きをフィットネスにというキャッチコピーでイージートーンを宣伝していますから、実際の履き心地はふつうのスニーカーとはかなり違うのだと思います。

CMはおしゃれな感じですね↓

海外向けのCMでは広告塔としてトップモデルのミランダ・カーさんが起用されています。↓

ちなみに最近では、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ投手の元奥さん:紗栄子さんがCMに起用されています。若い女性がイージートーンのメインターゲットのようです。

イージートーンは履くだけで痩せるって本当!?

イージートーンの広告や宣伝文句を見ると、「え、履くだけでシェイプアップできるの?」と期待してしまいますよね。

実際、「普段の歩きをフィットネスに」できれば、日常生活で歩きさえすれば毎日「フィットネス」できるのですから、痩せ効果を連想します。

でも、ちょっと調べてみると「イージートーンにシェイプアップ効果を期待しないほうがよい」理由がすぐに見つかります。

「シェイプアップ効果に根拠なし」米国では罰金命令・返金措置

アメリカでもリーボックのイージートーンシリーズは人気だったのですが、シェイプアップ効果をうたう広告宣伝が虚偽だったとして、実は2011年9月に2,500万ドル(当時のレートで約19億円)の罰金が課されています。

詳細は↓のサイト・ページが詳しいですので、ご参照ください。上のサイトがアメリカの連邦取引委員会のページ、下はそのページを元に色々と検証しているサイトです。

イージートーンを履くとフィットネスになるのかどうかは定かではありませんが、上の罰金命令の存在を考えますと、少なくとも「履くだけで痩せる」とか「履くだけでシェイプアップする」ということはないと考えたほうが良さそうです。

ちなみに現在もイージートーンは転倒やネットショップで販売されていますが、このような経緯もあるせいか「太ももを引き締める!」とかそういった感じの宣伝文句は使われていません。

普段の歩きをフィットネスに。というような曖昧な感じにとどまっています。

小売業者に安売りするなと圧力をかけて独禁法違反も

イージートーン絡みで、上の問題とは別の問題もあったようです。

イージートーンを販売する靴の小売業者に対して販売価格を拘束する行為を行い、アディダスは公正取引委員会から怒られています。

簡単に言えば、当時人気だったイージートーンが値崩れしないように、小売業者に安売りするなと圧力をかけていたようです。

今回のイージートーン事故裁判の争点は?

素人から見ると、イージートーンを履いて怪我したからと言って、それで損害賠償を受けるのはちょっと無理じゃない?などと思ってしまいます。

ただ、弁護士の先生がきちんと捉えると、必ずしもそうではないみたいです。↓
(※ 文字装飾は筆者が追加しています)

製造物責任法では、商品が通常有すべき安全性を欠いており、それによって生命または身体にかかわる損害が生じた場合に、製造業者はその損害を賠償するという規定になっています。ですので、今回の裁判の争点は、靴が通常有する安全性を欠いていたか、また店側がその事実を購入時に告知していたか、という2点であると考えられます。

今回の靴はもともとバランスが悪いものですので、バランスが悪いという事実は安全性を欠いているということにはならないでしょう。もっとも、外見からだけでバランスが悪いということを判断することは困難でしょうから、そうなると、販売店の方で、この靴はもともとバランスの悪いものであり、使用方法次第では転倒の危険がある、という説明をしっかりとしていれば問題ありませんが、そのような説明が一切なく、購入した人は通常の靴であると誤信して購入し、その結果転倒したような場合は損害賠償が認められる可能性はあります。

アディダスの靴で転倒し「重症」提訴の争点はどこに?Infoseekニュース

平成7年から施行された製造物責任法(PL法)によって、製品の欠陥が原因で損害を受けた場合には、その製品の製造者が損害賠償責任を負うことになっています。

今回のケースでは、イージートーンの不安定さは「欠陥」と言えるのかというポイントが争点となるそうです。

ちょっと変な話ですよね。不安定さが「ウリ」なのに不安定さが「欠陥」なの?と思ってしまいます。

街中の靴屋さんで「この靴のデザインかっこいいな。これ買おう。」のようなノリで、イージートーンの機能や特徴(不安定さ)を一切確認せずに買ってしまう消費者もいるはずです。

当然、リーボック側もそのような買われ方は想定の範囲内だと思います。

であるならば、「普通のスニーカーじゃないこと」に気づかずに履いた場合に、問題なく日常生活を送れる・ジョギングなどの運動が出来るのであれば「欠陥なし」。

そうではなく、普通のスニーカーのつもりで履いた結果、いつもよりコケる回数やよろめく回数が増えるのであれば「欠陥あり」。

のようになるのかな、と思ってしまいます(素人の推測に過ぎませんが)。

いずれにしても、同様の事故がもしかしたら他にもあるかもしれませんから、問題が拡大していくかもしれません。

追記:2017年1月

イージートーンに関する裁判・訴訟についてリサーチしてみましたが、この件に関する情報はネット上で見つかりませんでした。もしかしたら、和解が成立したのかもしれません。

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まとめ:製造物責任法(PL法)の存在を知っておこう

以上、イージートーンの事故訴訟の概要と争点、イージートーンの機能性などについてのまとめでした。

上でチラッと出てきた「製造物責任法(PL法)」は、私たち消費者を保護する目的の法律ですので、その存在は頭の片隅に入れておくとよいと思います。

この法律が出来るまでは、製品に欠陥があって怪我などの損害を受けた場合であっても、被害者側が製造者(メーカー)の過失を証明する必要があったのですが、PL法が施行されてからはその必要がなくなりました。

例えば、スマホが爆発して火傷を負ったケースで爆発の原因が製品の欠陥にある場合、スマホに欠陥が生じたことについてのメーカーの過失(ミス)を証明する必要はありません。

PL法以前はその必要があったのですが、いち消費者にそのようなことを立証するのは無理な話ですから、泣き寝入りすることが多かったわけです。

このような状態を解消するために出来たのがPL法(製造物責任法)で、製品に欠陥があることが証明できればOKとなりました。

万一、製品の不具合や不良品が原因で事故にあった場合、このことを覚えておけば弁護士さんに相談してみようと思えるかもしれません。

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