不法移民はなぜイタリアに?密航船の船内動画が凄まじい。

国際Final18日深夜、北アフリカのリビア沖で不法移民を乗せた漁船が沈没し、700人以上が犠牲になる事故が起きました。

漁船に乗っていたのは、イタリアへの密航をしようとしていた人々です。

昨年1年間でイタリアに辿り着いた不法移民は17万人以上と言われており、不法移民がEUに押し寄せる状況を「a tidal wave(津波)」と表現するメディアもあるほどです。

この記事では、北アフリカからヨーロッパ(主にイタリア)への不法移民が後を絶たない現状の原因・背景について整理し、解決策について探ってみたいと思います。


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イタリアへの不法移民密航船の動画

今回沈没した漁船は全長20mで、その中に700名以上の人々が乗船していたのですから、その船内はまさに「すし詰め」状態。

このような無理のある乗船人数による航行が沈没に繋がったと見られています。

昨年撮影された、別の密航船の船内の様子の動画がこちら↓

 

船内は、雑魚寝がやっと出来るか出来ないかのスペースしか無いのが分かります。

動画の密航船は、船内に撮影クルーが入れるくらいの余裕があることを考えると、まだまだマシなほうだと考えられます。今回沈没した密航船の状況は、これよりももっと酷かったことでしょう。

無責任で残酷な不法移民・密航斡旋業者の手口

後述しますが、北アフリカからヨーロッパへの密航ルートは、まずイタリアを目指すことが通常です。

そして、驚くべきは密航斡旋業者の手口。これは「残酷」と言ってもいいかもしれません。

その手口とは・・・

  • 過積載の状態まで不法移民希望者を乗せる
  • 密航船を北アフリカから一番近いイタリアの南部近海まで進ませる
  • イタリア近海に近づいたら、救難信号を出して救助を要請する
  • 密航船の乗組員は、密航船から脱出して逃げる

というものです。

公海上まで密航船を出したら、あとは航路を設定して救難信号を出し、乗組員は逃げる。

乗組員を失った密航船は、操縦する者がいないわけですから、非常に危険です。

このように、密航業者の手口は、EU各国(主にイタリア)当局による救助を前提とした、非常に危険なものとなっています(この手口についてのニュース記事はこちら)。

密航船の目的地:ランペドゥーザ島の地図

このように、北アフリカ(主にリビア)から出航した密航船は、海難救助されることを前提としてイタリアを目指すわけですが、その目的地は「ランペドゥーザ島」と呼ばれる小さな島であることが多いようです。

ここで、ランペドゥーザ島の地図上の位置を確認してみます。

 

地図で見ると分かるように、ランペドゥーザ島は、イタリア本土よりも北アフリカに近い島です。

そのために、アフリカからの密航船の目的地として「最適」な場所となってしまっているわけです。

あまりに不法移民・難民の流入が多いために、ランペドゥーザ島には「ランペドゥーザ難民収容センター」という難民の収容所が設置されていますが、その収容能力を上回る難民が流入しているため、常に定員超過の状態が続いていると言われています。

 

このように、イタリア南部近海には、毎日のようにアフリカからの密航船が現れ、密航を試みているわけですが、近年アフリカからヨーロッパへの不法移民が急増しているのはなぜでしょうか?

その理由について整理してみます。


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北アフリカからイタリアへの不法移民が後を絶たない理由・背景

アフリカからヨーロッパ(特に北アフリカからイタリア)への不法移民が後を絶たない理由を、まずは簡潔に箇条書きにしてみます。

  • 北アフリカ諸国の政治情勢・治安が悪化しているから。
  • 母国よりも高い賃金を求めるから。
  • 密航斡旋業者が利益を追求するから。
  • 不法移民を安く雇う現地業者が存在するから。

アフリカからイタリアへの不法移民・密航が後を立たない最大の理由は、やはり北アフリカ諸国の政治情勢・治安情勢の悪化です。

例えば、イタリア・ランペドゥーザ島に最も近いチュニジア

チュニジアは、北アフリカ諸国の民主化運動「アラブの春」の発端となった、ジャスミン革命が起こった国です。

しかし皮肉なことに、民主化が達成され独裁政権による統治が終了した後の方が、治安が悪化しています。最近ではIS(イスラム国)も台頭していきています。

また、チュニジアと同じくイタリアと海を面して接しているリビアでは、カダフィ政権が崩壊して以降、内戦が簿発。今も各地で戦闘が行われており、「治安がどうこう言っているレベルではない」状態です。

さらに、地中海の東側に目を向けると、同じく内戦状態でIS(イスラム国)の本拠地であるシリアがあります。

シリアの治安情勢も最悪ですから、同国からの難民も数多くイタリアに密航しています。

 

このように、イタリアと海を面して接している北アフリカ諸国の政治情勢・治安情勢は、今まさに最悪の状況となっています。

このことが、北アフリカからイタリアへの不法移民希望者が後を絶たない最大の理由だといえます。

 

また、北アフリカや中東の人々が、不法移民としてヨーロッパに向かう理由には、経済的な事情もあると思われます。

母国で働くよりも、ヨーロッパ各国で働く方が比べ物にならないほど高い賃金を得られるからです。

この構図は、中南米からアメリカへの不法移民と同じです。

不法移民を雇う側のメリットもあります。不法移民は、移民でない正規労働者を雇うよりも安く雇えることから、事業者は短期的な利益が得られるからです。ただ、イタリアでは今、それどころではないと思いますが。

 

さらに、不法移民・密航斡旋業者の利益追求も、不法移民数が拡大している大きな理由だと考えられます。

不法移民を希望する人々の数は、近年の北アフリカ政治情勢の悪化に伴い拡大しています。

斡旋業者にとっては需要が拡大しているわけで、「ひと儲け」するチャンスとなっています。

このチャンスで最大の利益を出すために、出来るだけコストをかけないで不法移民希望者をイタリアまで送ることを考えた結果、小さな漁船やゴムボート・老朽化した貨物船を「使い捨て」するという残酷な手法になっていったのだと思われます。

ここまで、不法移民の手口と拡大の理由と背景について見てきましたが、

最後に不法移民問題の解決策について考えてみることにします。

不法移民の問題解決のための対策は?

これまで見てきましたように、北アフリカからイタリアへの不法移民が後を絶たないのは、北アフリカ諸国が政治的・経済的に困窮しているからです。

ですから、この問題を根本的に解決するためには、北アフリカ諸国の政治的混迷・治安情勢を改善する必要あります。

そのためには、先進諸国の継続的な支援が必要となります。

 

・・・と、小学生でも考えつく理想論を言ってしまいましたが、現実はもっとシビアです。

先進諸国が最大限に支援を行っても、北アフリカの政治情勢・治安情勢を短期間に劇的に改善することは困難です。

その間にも、北アフリカ沿岸からは、不法移民希望者をぎゅうぎゅう詰めにした漁船・貨物船が出航していき、またイタリア沖で沈没事故が起こってしまいます。

この問題を放置することは、人道的にも問題がありますし、イタリアだけの問題ではありません。

イタリアは、EU諸国に問題解決に向けた協力を呼びかけていますが、フランスを始めとしたEU諸国は、協力に及び腰です。

EUだけでは、問題解決は難しいかもしれません。

 

そこで、国連の出番だと私は考えます。

紛争地には、国連平和維持活動としてPKO(PKF)が派遣されますよね。あれは、紛争によって人命が失われることを防ぐ目的です。

今回の沈没事故では、700人以上の犠牲者が出ているわけで、問題を放置すれば今後も犠牲者は確実に出続けることでしょう。

「人命が失われるリスク」という意味では、不法移民問題は紛争と同レベルかそれ以上の重要性・緊急性があると言えます。

そう考えると、国連が問題解決に全力で取り組んでも良いのでは?と思うのです。

 

具体的には、北アフリカ沿岸部の警備活動。不審な漁船・貨物船を常に監視して、イタリア近海にたどり着く前に発見して帰すようにします。

沿岸部全域をカバーするためには、膨大な量の船と人員が要りますので、実効性があるかどうかは微妙ですが、やらないよりはマシだと思います。

PKOにかかるコストと同レベルはかけていかないと、また犠牲者数百人規模の沈没事故が起こってしまいます。

各国レベルの対処でどうにかなる問題ではなく、国連の出番だと私は考えます。

あなたはどう思われますか?


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