酒の安売りが規制・厳罰化されるのはなぜ?その理由と背景とは。

社会政治経済

酒好きにはショッキングなニュースが昨日流れました。それが、

酒の過剰な安売りを法規制して、違反した場合には厳罰が処される

というものです。このニュースはこちらからお読みいただけます。

この記事では、

  • 酒の安売り規制・厳罰化の内容
  • 規制をする理由と背景
  • なぜ過剰な安売りをするのか

という点について見ていきたいと思います。


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酒の安売り規制・厳罰化の内容

酒の安売り規制・厳罰化は、今開かれている国会で成立され、1年以内に施行される見込です。

その内容とは・・・

  • 仕入原価や製造コストを下回る価格での販売の禁止
  • 従わない場合には、酒販売免許の取消しという厳罰を処す

というものです。

過剰な安売りをしているのは、酒量販店やスーパー、ドラッグストアなどですから、

今回の法改正のターゲットは主に量販店・スーパー・ドラッグストアであると考えられます。

 

「お酒は安売りしているスーパーでまとめ買いする!」

という方も多いと思いますから、消費者からの反発は大きくなりそうです。

では、消費者の猛反発が予想されるのに、なぜ政府は酒の安売り規制を強行するのでしょうか?

その理由と背景について見ていきます。

酒安売り規制の理由・背景

酒安売りを規制する今回の法改正の理由は、

過度な値下げから一般酒店を守ること

です。

ここで言う「一般酒店」とは、商店街にある酒店をイメージすれば良いと思います。

以前は、酒の販売は厳しい規制の下に行われていました。その規制のおかげでこのような一般酒店は「守られていた」とも言えるかもしれません。

しかし、近年の規制緩和によって量販店などが酒販売に進出すると、一般酒店は苦境に立たされることになります。

酒販売に関する法規制と規制緩和について、少しまとめてみました。

酒販売の規制緩和の経緯・流れ

  1. 2001年に「距離基準」が廃止される。
    距離基準とは、酒販売店の間には一定の距離を置かなければならないという規制のこと。距離基準があると、既存の酒店の周りには新規出店出来なくなります。今でも、タバコ販売については距離基準の規制が残っています。
  2. 2003年に「人口基準」が廃止される。
    人口基準とは、地域の人口に応じて酒販売の免許枠(数)を制限する規制のこと。距離基準と同様、新規出店を妨げて既存の酒店を保護することが目的でした。
  3. 2006年に「緊急調整地域」が廃止され、完全自由化される。
    ←「緊急調整地域」とは、酒の過剰供給がなされている地域のことで、この地域については新規出店が規制されていました。この規制が無くなることで、酒の販売は完全自由化されることになります。

以上のように、既存の一般酒店は「距離基準」「人口基準」のように、手厚く保護されていたわけです。

しかし、規制緩和によって新規出店が相次ぐと、その経営は厳しくなっていきました。

量販店などの安売りは、大量仕入れ・大量販売の方式でしか達成できませんから、一般酒店には真似できません。

消費者は、少しでも安く酒を買いたいと思いますから、一般酒店の売上は当然落ち込んでしまいます。

その結果として、経営難になり廃業に追い込まれた一般酒店は数知れないでしょう。

これは「競争による淘汰」であり、資本主義社会においては「当たり前」のことかもしれません。

しかし今回、酒業界のこの「淘汰」を政府は「行き過ぎ」と考えたようです。

行き過ぎた規制緩和を是正する流れに

政府は

良質な一般酒店・小売店まで淘汰されると、消費者にもマイナスになる

と考えたようで、この考えが今回の法改正に繋がったと考えられます。

これまで淘汰された一般酒店は「良質」じゃなかったのか!という批判を呼びそうな表現ですが。。。

また、何をもって「消費者にマイナスになる」と判断したのか?

かなり曖昧です。

政府は、今国会の法案成立を目指していますが、国民からの大反発が起こった場合、見送りになるかもしれません。

 

・・・と、ここまで「酒の安売りの規制」について見てきたなかで、素朴な疑問が1つ浮かびました。

それは、

なぜ、量販店・スーパーは仕入価格・製造コストよりも安い価格で酒を販売するの?

という疑問です。


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スーパー・量販店が仕入価格よりも安い価格で酒を販売する理由

普通に考えれば、仕入れ値よりも安い価格で商品を販売すれば、商品が売れるたびに損失が出てしまいます。

では、なぜ酒量販店やスーパーは、お酒を仕入価格よりも安い価格、激安価格で販売するのでしょうか?

それは、

激安商品で顧客を呼び込み、他の商品も一緒に購入してもらうことで、全体として利益を出していく戦略

を採っているからだと考えられます。

例えば、発泡酒を激安販売するとして、その情報をチラシに載せておきます。

すると、消費者は

「安っ!!買いに行こ!」

と思いたち、スーパーに行きます。

スーパーに行くと、目的の発泡酒以外にもいろいろな商品が陳列されているわけですから、発泡酒だけを購入して帰るということはまず有りません。他の商品も購入するはずです。

すると、発泡酒では損失が出ても、他の商品が売れることで全体として利益が出るわけですね。

この流れが、スーパーや量販店がお酒を損失覚悟の激安販売をする理由です。

 

酒の激安販売の規制、賛成?反対?

ネット上では、今回の酒の格安販売に対する規制に関して、否定的な意見が目立ちます。

「消費者は安いものを求めている!!規制反対!」

「企業努力で安売りしてるんだから、規制するのはおかしい!」

などというものです。

確かに、私達消費者にとっては、商品は出来るだけ安いに越したことはありません。

しかし、今回の酒小売業界については、話が別だと考えます。

 

酒の損失覚悟の安売りは、企業努力によるコスト削減の結果ではなく、単なる広告宣伝目的だからです。

企業努力によるコスト削減の結果としての安売りであれば、規制する必要などありません。

例えば、トヨタが水素自動車の研究開発と量産化を進めて、販売価格1台500万円だったものを1台250万円にしたとします。

これは、企業努力による値下げといえます。

しかし、酒販売業界の損失覚悟の安売りは、このような企業努力とは性質が異なります。

損失覚悟の激安販売をしてお客を呼び込み、他の商品も買ってもらい、売上・利益を伸ばす

という販売戦略による「安売り」だからです。

激安販売による損失はいわば「広告宣伝費」と同じです。

政府は、「この『広告宣伝費』を止めろ」と言っているわけですね。

 

一般酒店にしてみれば、自分の店の商品ジャンル(酒)がスーパー・量販店の「客寄せのエサ」に使われているわけですから、たまったものではありません。

これでは、正当な競争とは言えないのではないでしょうか。

 

こう考えると、今回の政府の法改正には必ずしも反対しなくてもいいのかな、と私は考えます。

政治家の酒業界の利権とかが絡んでいたら話は別ですが。

おわりに

自分が一般酒店の店主だったら、

自分のところで売っているお酒が、スーパーの「客寄せのエサ」として激安販売されている

ところに遭遇したら、憤りを覚えます。

少なくとも、「真っ当な競争」とは言えないと思います。

 

こう考えると、一般酒店を保護する目的で、酒の行き過ぎた激安販売を規制するのは、アリだと私は考えます。

あなたはどう思われますか?


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