東電が黒字なのはなぜ?その理由と原因とは

社会政治経済

東電の黒字化はおかしい??

東京電力の従業員の給料・給与が、震災前の水準の10%減まで回復するというニュースが地味に話題になっています。

東電社員の年収回復については、こちらの記事『東電、給料引き上げ・アップで年収回復。東京電力の給与は高すぎる』で取り上げています。

年収アップの背景には、東電の黒字化があります。業績が戻ってきたから、従業員の給料も上げていこう。こういう流れです。

昨年度は約4,386億円の黒字だった東電ですが、今年(2015年3月期)も5,210億円の最終黒字(当期純利益)になる予想です(参照元:「東京電力企業情報「業績予想」)。

……すごいですね、2期連続の最終黒字です。

 

東電の黒字化の理由・原因、つまり「なぜ東電は黒字なのか?」という点については、上の記事でも取り上げていますが、この記事でももう一度取り上げてみたいと思います。

「東電の黒字化はおかしい!」

と思う、私を含めた一般市民の感覚は果たして正しいのか?検証したいからです。

では、まず東電の直近の業績について整理していきたいと思います。


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東京電力直近の業績分析

東京電力は上場企業ですので、有価証券報告書・四半期報告書を公開しています。

以下の表上の数字は、全て東京電力の2014年3月期の有価証券報告書と2015年3月期の各四半期報告書に基づくものです。

東京電力過去5年間の主な業績指標

 2010年3月期2011年3月期2012年3月期Ÿ2013年3月期2014年3月期
売上高5兆…†160億円5兆…†3,685億円††5兆…†3,494億円††5兆…†9,762億円6兆†6,314億円†
当期純利益1,337億円▲1兆†2,473億円▲7,816億円▲6,852億円4,386億円††
自己資本比率18.7%10.5%5.1%7.5%10.5%
従業員数52,452人52,970人52,046人48,757人45,744人
2011年3月の大震災・福島第一原発事故の賠償の影響で、2011年3月期以降、3期連続で多額の最終赤字になっていることがわかります。

その額、3期通算で約2兆7千億円。

しかし、2014年3月期には、約4,386億円の当期純利益(最終黒字)を確保しています。

2015年3月期の四半期ベース(3ヶ月毎)の業績も良好のようです。

東京電力2015年3月期の四半期業績

東電の2015年3月期四半期報告書(第1、第2、第3)を参照し、純利益(最終黒字・赤字)について表に整理してみました。

 第1四半期第2四半期第3四半期第3四半期累計
売上高1兆5,685億円1兆7,656億円1兆5,984億円4兆9,325億円
純利益▲1,732億円4,633億円▲1,101億円1,800億円
第3四半期累計期間(2014年4月~12月)の最終損益は、約1800億円の黒字になっています。

そして、2015年1月30日時点で発表した東京電力の2015年3月期の最終利益予想は、5,210億円の黒字です。

 

このように、東京電力の決算は、前期(2014年3月期)も黒字、当期(2015年3月期)も黒字になる見込みであることが分かります。

第3四半期時点の業績から判断して、当期の業績予想が大きくハズレることはありえませんので、当期の黒字は確実でしょう。

 

では、次に、東京電力がなぜ黒字になっているのか??について分析していきたいと思います。


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東京電力の黒字の理由・原因を分析してみる

上記のように、東京電力の2015年3月期の決算は、前期2014年3月期に引き続き黒字となる公算です。

その理由は、

  • コストの削減
  • 売上の増加

です。当たり前ですが。

ここでは、この東電黒字化の2つの要因について詳しく見ていきます。

東電コスト削減の内訳

朝日新聞のこちらの記事によれば、2015年3月期の東電のコスト削減額は総額8,370億円で、その内訳は

  • 人件費の削減:1,385億円
  • 燃料費などの需給関係費用削減:2,444億円
  • 資材・工事関係費の削減:2,907億円
  • その他経費の削減:1,634億円

となっています。

人件費については、リストラクチャリングの効果が出始めた結果だと思われます。実際、震災前の水準から役員も従業員も給料が下がっています。

コスト削減額が一番大きいのは、「資材・工事関係費の削減」で約3,000億円弱となっています。

これは、発電所の定期点検の工期を短縮させたり、修繕工事を来期以降に繰り延べたりした結果だと考えられます。

これ、安全性大丈夫なの??

と私は素朴に疑問に思いますが、「大丈夫」だから工期を短縮したり修繕を繰り延べ(延期)しているのでしょう。

しかし、点検工期の短縮等が原因の事故などが起こった場合には、批判にさらされることは間違いありません。

 

次にコスト削減額が大きいが、需給関係費用の削減です。

これは、上で紹介した朝日新聞の記事によれば、「交渉による燃料調達価格の低下」とされています。

仕入れ先との交渉の結果、安く買うことが出来、燃料費用を削減することが出来た結果なのでしょう。

企業努力の一環として、素晴らしいものですが、後述する燃料費調整制度との兼ね合いはどうなっているの??という素朴な疑問が残ります。

このように、東電は「人件費削減」「修繕費用等の削減」「燃料費削減」によって、多額のコスト削減に成功したと言えます。

次に、東電黒字化のもう1つの要因である「売上増」について見ていきます。

売上増の原因は、料金改定による値上げと燃料費調整制度

まず、東電の直近3年間の売上高と2015年3月期の売上高予想を表にして整理してみます(参照元:2014年3月期有価証券報告書、2015年1月30日時点業績予想)

 2012年3月期2013年3月期2014年3月期2015年3月期
売上高5兆3,494億円5兆9,762億円6兆6,314億円6兆8,500億円
2013年3月期に約6,200億円の売上増になっていますが、これは、2012年4月と2012年9月の電気料金価格改定による値上げの影響です。

2012年4月には企業向け電気料金を約14.9%、2012年9月には家庭用電気料金を8.46%値上げしています。

これによって、約10%も売上が伸びたわけですね。

また、2013年3月期→2014年3月期でも、売上が約6,500億円増加しています。

これは、燃料費調整制度の利用による電気料金の上昇のためです。

燃料費調整制度って、ニュースではたまに聞きますが、詳細は知られていないと思いますので、リサーチしてみました。

燃料費調整制度とは?

燃料費調整制度とは、東電HPによれば、

火力燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の価格変動を電気料金に迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度

のことです。

要は、

火力発電の燃料である原油・LNGの輸入価格が上昇したり下降したら、自動的に電気料金も上下するよ

ということですね。

そして、燃料費調整制度による電気料金の上昇額・低下額の算定方法については、

平均燃料価格(実績)が、基準燃料価格を上回る場合はプラス調整を、下回る場合はマイナス調整を行います。

と東電HPに記載されています。

非常に分かりにくいですね。

そこで、それぞれの用語について調べてみました。

  • 平均燃料価格(実績)

←原油・LNG・石炭の直近3か月間の貿易統計価格に基づき、算定される。
貿易統計価格は、東電を含む燃料輸入業者の実績価格を統計したもの。

  • 基準燃料価格

←平成24年1月~3月平均の平均燃料価格のことで、44,200円(原油換算1L当たり)。

これでも分かりにくい。。

簡潔に言えば、平均燃料価格(実績)とは、直近3ヶ月の原油の輸入価格の実績平均のことですね。

そして、今の燃料価格(平均燃料価格)が高いのか?安いのか?は、平成24年1月~3月の平均燃料価格(基準燃料価格)を基準にして判断しよう、ということです。

原油の輸入価格が上昇すれば電気料金は上がるし、輸入価格が下落すれば電気料金は下がるわけです。

仕入れ価格の上昇を、自動的に商品価格に反映させられるなんて、すごく良い商売ですね。

 

さて、燃料費調整制度についてのイメージがついたところで、素朴な疑問が。

上で、東電コスト削減の理由の1つに、「需給関係費用の削減」というものがありました。

これは、交渉によって原油・LNGなどの調達価格を安くできた、ということを意味します。

これは東電の交渉力・企業努力の賜物なのかもしれません。同じ電力会社でも関西電力などは酷い赤字ですので。

このように東電は、交渉によって、他よりも安く燃料を調達できたわけですが、

燃料費調整制度によって、電気料金は上昇しています。

これっておかしくね??

というのが、素朴な疑問です。

燃料費調整制度による電気料金の上昇は、上述したように貿易統計価格の上昇によります。

東電は、他よりも安く燃料を調達出来たと考えられますから、実際の燃料調達価格は、貿易統計価格よりも安いと想像できます。

だけど、電気料金の値上げ幅は、貿易統計価格により算定される。

つまり、燃料費調整制度による電気料金の上昇は、東電にとって「ちょっとお得」になっているのでは?

と思うのです。その額がいくらかはわかりませんが。

もちろん、燃料費調整制度の活用は法的になんの問題もありませんが、

電気料金の上昇は、東電の実際の仕入額をベースに算定して欲しいなぁ、と思うのです。

 

以上、東電の黒字化の理由・原因について分析してきました。

東電には、国から資金が注入されています。

国からお金を受け取っている以上、東電の経営と業績・財務状況については透明性が求められます。

この点、東電の業績や事業の状況については、一般に公開されている有価証券報告書を閲覧すれば確認することが出来ます。

しかし、有価証券報告書は、投資家向けに書かれたものですから、読むのに会計の知識が必要でいかんせん分かりにくいものです。

東電には、有価証券報告書以外にも、一般向けのわかりやすい資料を作ってもらいたいものです。

 

直近2年の黒字化によって、東電は「業績が回復した」として、従業員や役員の給料を震災前の水準まで戻す流れにあると考えられます。

また、もしかしたらボーナスも支給されるかもしれません。黒字ですので。

一般企業では当たり前の流れですが、国民からの批判は避けられないでしょう。

東電の黒字は、企業努力によるコスト削減の効果もあるにせよ、電気料金改定による値上げの影響が非常に大きいからです。

原発事故は東電が起こした

原発停止

火力発電の燃料費上昇

電気料金値上げ

業績回復

ボーナス支給

上記の流れを見ると、普通に考えれば、筋が通らないことは一目瞭然です。

私が東電の社長なら、原発を再稼働して電気料金の値下げを達成するまでは、ボーナス支給は行わないですが、

実際にはどうなるでしょうか。

今年の6月のボーナスの時期が注目です。


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