東電、給料引き上げ・アップで年収回復。東京電力の給与は高すぎる

社会政治経済

東京電力の年収が回復。年収高すぎ?【画像:東京電力本社ビル】

福島第一原発で汚染水を絶賛垂れ流し中の東京電力ですが、東電の社員の給与が事故前の10%減の水準まで回復することが決まったようです。

それを伝えるのがこちらのニュース↓(一部引用。引用元:Yahoo!ニュース

東京電力は19日、福島第1原発事故後に大幅削減した一般社員の年収について、2015年度は事故前水準の10%減へ回復することで労働組合側と合意した。

一般大衆の私としては、

「え?福島の賠償・復興がまだなのに、また給料上げるの??」

という感覚です。年収高すぎじゃね??と思うのが正直なところ。

 

ですが、この記事では東電社員の給与引き上げについて、冷静に分析してみることにします。

社員の年収を回復・引き上げさせることとなった背景には、東電の黒字化があるようです。

そこで、ここで東電の業績の推移と黒字化の理由と背景について整理してみます。


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東電の業績推移と、黒字化の原因・理由と背景

ここでは、東電の直近5年間の主な業績指標の推移を整理した上で、簡潔に分析し、東電黒字化の理由と背景について考えてみます。

東電の直近5年間の業績の推移

まず、東電の業績推移について簡潔に整理してみます(参照元:同社有価証券報告書)。

ぱっと見でわかるように、3.11(2011年3月11日の東日本大震災)の影響で、2011年3月期に1.2兆円というとんでもない額の損失を計上しています。

その後の2年間も巨額の損失を計上。

財政の健全性を示す自己資本比率も、低下しています。

しかし、昨年度(2014年3月期)には黒字転換しています。

そこで、この黒字化の原因・背景について簡潔に分析してみます。

東電の黒字化の理由・背景

 2010年3月期2011年3月期2012年3月期2013年3月期2014年3月期
売上高5兆…†160億円5兆…†3,685億円5兆…†3,494億円5兆…†9,762億円6兆…†6,314億円
当期純利益1,337億円▲1兆…†2,473億円▲7,816億円▲6,852億円4,386億円
自己資本比率18.7%10.5%5.1%7.5%10.5%
従業員数52,452人52,970人52,046人48,757人45,744人
上の表で着目して頂きたい数字を青色にしています。

着目すべきは、

  1. 2013年3月期に売上高が約6,200億円増加
  2. 2014年3月期に売上高が6,500億円増加
  3. 2013年3月期に従業員数が約3,300人減少
  4. 2014年3月期に従業員数が約3,000人減少

という点です。

順に見ていきます。

まず、1.の2013年3月期の売上高増加6,200億円について。

これは、2012年4月と9月に電気料金を改定して値上げしたことが原因です。

東電は、2012年4月に企業向け電気料金を約14.9%値上げ。その後同年9月には、家庭用電気料金を8.46%値上げしています。これによって、東電の売上も10%以上伸びたわけですね。

10%というと少なく感じますが、もともとの売上高が5兆円超と巨額ですから、10%の売上増でも6,000億円というとんでもない額の上昇になります。

続いて、2.の2014年3月期の売上増約6,500億円について。

これは、燃料費調整制度による電気料金の上昇のためです。燃料費調整制度とは、海外から輸入する燃料費の変動を電気料金に反映させる制度のことです。円安の影響によって燃料費が高くなったために、東電はその分だけ電気料金も少しずつ値上げしていきました。

つまり、東電のここ数年の売上高の増加の背景には

  • 料金価格改定による値上げ
  • 燃料費調整制度による電気料金値上げ

という2つの原因があるわけですね。

売上高増加については、2014年3月期の有価証券報告書にも

収入面では、一昨年実施した料金改定や燃料費調整制度の影響により、電気料収入単価が上昇したことなどから、電気料収入は前連結会計年度比10.1%増

と記載されています。

ここまでで、なぜ東電の売上が伸びたの?ということについては分かりました。

考えてみれば、電気料金を値上げして、さらに燃料費コストの上昇に合わせて電気料金も上昇させているわけですから、売上が増加するのは当たり前の話です。

 

次に、なぜ東電は黒字化出来たの?という点について分析してみます。

ここで注目すべきは、やはり上記の3.と4.の人員削減です。

2年間で6,000人のリストラ・人員削減をしていますので、それだけコスト削減ができていると考えられます。

しかし、人件費を削るとしても、それだけで黒字化達成!ということにはなりません。


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この点についてリサーチすると、次の項目のコスト削減が功を奏していることが分かりました(参照元:朝日新聞)。

  • 給与・賞与の削減
  • 交渉による燃料単価の引き下げ
  • 設備修繕の繰り延べ

まず、「給与・賞与の削減」について。

東電は、人員削減を進めるとともに、既存従業員の給料の削減をしています。給料のカット幅は、最大で事故前の水準の30%ですから、普通に考えるとかなりの削減です。

この給料削減については、後述します。

次に、「交渉による燃料単価の引き下げ」について。

この点は、業界人ではないのでよく分かりませんが、輸入先との交渉で、大量に買い付けることなどを条件に、単価を引き下げることに成功したのでしょう。

上で説明した「燃料費調整制度」によって電気料金は引き上げる一方、燃料費単価は抑えられているので、思わぬ利益が出た、とも言えるかもしれません。

燃料費単価を引き下げられた分、燃料費調整制度を使った電気料金引き上げの幅も、小さくしているのでしょうか。

ちゃんと、そこ調整してる?

と疑ってしまうのは私だけでは無いはず。

 

次です。「設備修繕の繰り延べ」。

電力発電所の設備は継続的・定期的な修繕が必要であることは明らかですが、その修繕を次年度以降に繰り延べることで、修繕費用を削減している、ということだと考えられます。

これ、大丈夫なの??

と私は思います。次年度以降に繰り延べるということは、次年度以降の費用が膨らむ、ということです。

来期以降の損益を圧迫することは明らかです。

その上、「その修繕、本当にやらなくても安全上大丈夫なの?」という疑問も生じます。

もちろん、「大丈夫」だから次年度以降に繰り延べるのですから、東電は「大丈夫」と判断したのでしょうが、

仮に修繕不足で事故など起こりでもしたら、東電に対する激烈な批判が想像できます。

以上で、人員と給与の削減、燃料費コストの削減、修繕費の繰り延べ、という対策によって、東電のコストは圧縮されていることが分かりました。

つまり、東電黒字化の理由は、

  • 料金価格改定・燃料費調整制度の利用による売上増
  • 各種施策によるコストの圧縮

というものであることが分かります。

 

東電が黒字化した理由・原因と背景について分かったところで、話を東電社員の年収・給与に戻します。

東電社員の年収を回復させて元の水準に戻す?

冒頭で引用したニュース記事でも言われているように、2015年度中に、東電社員の給料は原発事故前の水準の10%減の水準に戻すことが決まりました。

逆に言えば、原発事故以降、東電従業員の給料は削減されていたわけです。

まず、その給料削減の経緯・推移について少し整理してみます。

  • 2012年に、管理職は30%、一般職は20%の給与削減を実施
  • 2014年に、14%減の水準まで戻した
  • 2015年に、10%減の水準まで戻す

という流れです。

去年、だいぶ給料の水準は戻っていることが分かります。

黒字化できたし、そろそろ原発事故前の水準に向けて、給料上げていってもいいよね???

という東電の思惑が見え隠れしています。

いや、隠れてないか。

 

東電社員給与の引き上げについて、あなたはどう思われるでしょうか?

私は、

そもそも電気料金を値上げすべきでなかったし、赤字経営・借金経営を続ければいい。結果、給料は下がって当然。

と考えています。

赤字経営が続けば、社員の給与も上がることはありませんし、むしろ下がる一方です。

 

原発事故は、予見できなかったリスクがあったことは事実ですが、だれが責任を取るのかといえば、東電です。

東電以外にはありません。

そう考えると、3.11以降、原発の稼働ができずに燃料コストが拡大し、赤字になってしまった責任も東電にあります。

消費者、電気利用者には責任はありません。

それにもかかわらず、電気料金の値上げをしたのがおかしいのです。

電気料金を値上げしないと、赤字が続いて倒産しちゃうんです!

と、東電をはじめとした電力各社は言いますが、

赤字が続いて倒産すればいいんです。

どこの業界に、

ウチ赤字で厳しいんで、来月から20%の値上げしますけど、これまで通り買ってくださいね

という主張が通る会社があるのでしょうか。

普通、ありえません。

そのありえないことがまかり通ったのが、先の電気料金値上げなのです。

完全におかしな話です。

 

東電の黒字は、このような不可解で筋の通っていない値上げによって達成されました。

値上げがなかったら赤字ですからね。

東電社員の給与の引き上げも、会社の黒字化がその背景にありますから、

給与引き上げも「筋の通らない話」ということが出来ます。

 

30%も給料を下げられた社員の皆さんには同情しますが、嫌なら辞めればいいだけの話です。

日本には東電以外にいっぱい会社がありますので。

 

また、東電や関電の値上げや給料引き上げの背景には、やはり従業員の歪んだ「エリート意識」があるのでは?と私は思います。

この点については、『関電の再値上げはなぜ行われる?その本当の理由とは。』で詳細に述べていますので、よろしければどうぞ。

 

繰り返しますが、

東電の黒字化は、筋の通らない電気料金値上げによって達成されたわけで、黒字化を背景にした東電社員の給与引き上げも「筋が通らない」ハナシ

だと私は思います。

あなたはどう思われますか?


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