Suicaなどの電子マネーでの支払なら、何に使っても交通費でOK?
補助金を受けた企業からの政治献金の問題は、追及する側の民主党にも飛び火しかねないことから、「手打ち」となり政治資金規正法改正へと流れる様子です。
ただ、政治とカネの問題は、メディアも大好きですから、今後も問題が出てくることでしょう。
さて、その政治とカネの問題ですが、毎日新聞があらたな問題提起をしています。
それを伝えるのがこちらの記事↓(一部引用。引用元:Yahoo!ニュース)
・・・前略・・・
その一つは「品代」とのみ領収書に書かれた支出だ。小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」について情報公開請求で入手した領収書によると、小渕氏は銀座の高級雑貨店と大手百貨店で2009~12年に計24件、476万円余を品代として支出。1回の最高額は50万円を超えるが、いずれの領収書にも購入品目はもちろん、売り場の記載すらない。
同様に領収書は有りながら使途が不明なものに、大手コンビニチェーンなどが発行し買い物や食事などに使える電子マネーがある。小渕氏の12年分の少額領収書(1万円以下)を別途請求し確認したところ、資金管理団体は同年に9回、計9万円を電子マネーのチャージ代に支出しているが、そこから先はたどれない。
領収書への「品代」という記載は、日本の商慣行の1つですが、政治資金の使い道が分からないことは大問題です。
高級百貨店での買い物であれば、何十万円もの支出を1枚の「品代」と書かれた領収書で、政治資金からの支出に出来るわけですから。
同様に、Suica・PASMOなどの交通系電子マネーでの支払も、チャージ後に具体的に何に使ったのかが分かりません。
少額ではありますが、塵も積もれば山となるで、全議員の電子マネー支払の金額を足しあわせたら、結構な金額になるはずです。馬鹿には出来ません。
ただ、Suicaへのチャージ金額をその時点で全額経費にすることは、国会議員の政治資金に限らず、企業や個人事業主の経理でも一般的に行われています。
仕訳としては、Suicaに1万円をチャージした時点で
(借方) 交通費 1万円 / (貸方) 現金 1万円
となります。
1万円チャージした後に、実際には交通費として使ったのではなく、別のモノに使ったとしても、帳簿上は「交通費」として経費にしてしまっています。
チャージしたSuicaで、税金上の費用にはなり得ないモノ、例えばタバコやゴルフボールなどを買った場合でも、帳簿上は「交通費」として費用になるわけです。
このように、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーは、「都合の悪い買い物」を会社の経費にしたり、政治資金からの支出にしたりするために、「便利な」支払手段であるわけです。
厳密にいえば、1万円のチャージをした時点で
(借方) 前払金 1万円 / (貸方) 現金 1万円
と記帳し、実際に電車に乗った時や買い物をした時に、
(借方) 交通費 980円 / (貸方) 前払金 980円
などと前払金を消しこんで行くのが良いのだと思うのですが、実務上は煩雑極まりない?かもしれません。
ですから、国も
まぁまぁ、いいんじゃないの??
という感じで黙認しているのだと考えます。
総務省HPに公開されている『政治資金監査に関するQ&A』では、電子マネーを使った買い物について、
- 電子マネーにチャージした時点でその分を支出に計上し、その後電子マネーを利用した時に、その利用額を支出に計上するとともに、同額を収入に記載する。その際には「電子マネーによる購入」と備考に書く。
この方法が望ましく、原則的な方法。 - 交通系電子マネーにチャージし、電車の利用など交通費に限定して使用する場合には、チャージした時点の支出計上のみでも構わない(例外的方法)
のように、その記帳方法についてのガイドラインを定めています。
ほとんどの政治家は、後者の例外的方法の記帳方法を採用していることでしょう。
ただ、例外的方法による記帳の条件である「電車のりようなど交通費に限定して使用する場合」という条件を、本当にクリアしているかどうかは大分怪しいです。
というか、たぶん交通費に限定して交通系電子マネーを使っている、という政治家は少ないのではないでしょうか。
そう考えると、この例外的方法による記帳を認めることによって、抜け道を作ってやっていることになっています。
細かいかもしれませんが、原則的方法の記帳方法のみしか認めない、ということを総務省が打ち出せば、交通系電子マネーによる使途不明金はなくなると思います。
政治献金関連の政治とカネの問題と比べると、大分小さい問題かもしれませんが、小さいことから引き締めを行っていかなければ、政治とカネの諸問題は少なくならないと考えます。
というかそもそも、政治家センセイ方には、どうかSuicaを悪用したセコい真似はしないでもらいたいものです。