雪国まいたけTOBの黒幕は第四銀行!?目的は内紛の収束か。

雪国まいたけTOB

雪国まいたけのTOBは、第四銀行とベインキャピタルが手を組んだ結果だった

TOB(株式公開買い付け)で話題を集める雪国まいたけですが、このTOBの黒幕は同社メインバンクである第四銀行であることが判明しました。

そしてその目的は、「雪国まいたけの経営から創業者一族を追い出すこと」だと言われています。

当ブログの『雪国まいたけって上場企業だったのね。米ベインキャピタル系投資ファンドがTOB。』の記事では、雪国まいたけTOBの目的を「米投資ファンドベインキャピタルによる転売」と推測していましたが、少し違ったようです。

今回の雪国まいたけのTOB、調べてみるとかなりきな臭く、不謹慎ですが結構面白いです。

そこで、雪国まいたけがなぜTOBを受けることになったのか?その理由・背景とTOBの目的とスキームについて書いてみたいと思います。

(上記画像引用元:By YamappyYamappy (投稿者(Yamappy)が撮影Photo taken by Yamappy) [Public domain], via Wikimedia Commons


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雪国まいたけでは結構長いこと内紛が続いていた

食品スーパーで見かける雪国まいたけの穏やかで平和なイメージとは異なり、雪国まいたけ社の内部では、前から内紛が続いていたようです。

この雪国まいたけ社の内紛が今回のTOBにつながったわけですが、この内紛について時系列で紹介したいと思います(参照元:Livedoorニュース、)。

創業者:大平喜信氏が、No.2役員として元自動車メーカー役員を迎え入れる

雪国まいたけの創業者は大平喜信氏(67)ですが、同氏は2010年9月に大手自動車メーカーの東大卒のエリートA氏を経営ナンバー2に迎え入れます。

大平氏はこのA氏にかなりの権限を与えて経営させますが、A氏の合理化を推し進める経営手法に、雪国まいたけの生え抜き役員たちが猛反発。

彼らの意向を汲み取り、大平氏はA氏を2013年6月の株主総会で取締役から退任させます。

これで、古くからの生え抜き役員による経営に戻り、一安心一安心と思いきや、A氏が猛反撃にでます。

東大卒エリートA氏の猛反撃、そして社長退任

取締役を解任された東大卒エリートA氏は、雪国まいたけの過年度の不適切な会計処理、つまり粉飾決算の事実を、東証・金融庁・取引銀行に告発しました。

この告発を受け、雪国まいたけ社は粉飾決算を訂正、同時に社内調査委員会の報告書が公開されました。

その報告の内容は、簡単にいえば「今回の粉飾決算は大平氏の過度なワンマン経営が原因」というもの。

これを受けて、大平氏は雪国まいたけの社長を退陣させられます。

後任の社長には、元イオン専務の星名光男氏が就任しました。

星名氏が経営を立て直し、黒字転換を果たす

新社長である星名氏は、2012年、2013年と連続赤字だった雪国まいたけを、2014年3月期に黒字にすることに成功します。

同時に、過年度の粉飾決算を理由に東証に提出した経営改善報告書のなかで、

「創業家の影響力を徐々に排除していく」

と宣言しました。

こんなことを言われては、創業者である大平氏は面白いはずはありません。

そこで、大平氏は大胆な手を打ちました。

2014年6月の株主総会で、前代未聞の役員総取っ替え

大平氏ら創業家が持つ雪国まいたけ社の株式は全体の64%と言われていて、過半数を余裕で超えています。

つまり、株主総会で自らの議案を通すことができるわけです。

「創業家排除」を堂々と掲げる新社長の星名氏に不満を持つ大平氏は、自らが選んだ役員人事案を議案として提出。その過半数を超える議決権を行使し、その役員人事案を通してしまいます。

星名氏などの経営陣は総退陣。このような「役員総取っ替え」が起こるのは、上場企業では前代未聞らしいです。

大平氏が新社長に指名したのは、自動車メーカーホンダ元専務の鈴木克郎氏でした。

こうして、自らの持つ株式・議決権の威力を存分に発揮して、大平氏は自らに従う社長を就任させたわけですが・・・。

今度は、鈴木克郎氏ら新役員が反大平派になる

このように、2014年6月の株主総会で大平派の役員人事を通した大平氏ですが、またも反旗を翻されます。

新社長の鈴木氏らの新役員が、反大平派になってしまったのです。

そして、反大平派となった鈴木社長は、雪国まいたけのメインバンクである第四銀行の意向を反映して、創業家を経営から排除する方針を明確にします。

大平氏は臨時株主総会の開催を請求

またしても自らが送り込んだ役員が反大平派になってしまったため、大平氏は臨時株主総会の開催を要求します。

雪国まいたけへの影響力を保つために、大平派の取締役を送り込むためです。

この請求によって、2015年1月に新潟地方裁判所から「2015年3月31日までに臨時株主総会を開催する」許可が出されました。

つまり、現経営陣は今年の3月31日までの臨時株主総会を開催しなくてはならなくなりました。

臨時株主総会の開催がされてしまえば、また経営陣に大平派の取締役が入ってしまうことになります。

そこで、銀行団と現経営陣はこの事態を防ぐために、TOBの実施を急いだと考えられます。

そして、創業家排除のためにTOBが実施される

こうして反大平派となり「創業家排除」の方針を掲げた鈴木社長ですが、創業者である大平氏に株式の過半数を握られていては、また株主総会で退陣を迫られてしまいます。

どうにか、創業家一族から雪国まいたけの株式を奪えないか・・・

そこで登場したのが、米投資ファンドのベインキャピタルによるTOB、株式公開買い付けです。


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雪国まいたけ社TOBの目的・背景とスキーム

ここまで、雪国まいたけの内紛について時系列で見てきましたが、

  • 大平氏が過半数の議決権を行使して、役員を指名
  • その役員らが反大平派になり、創業家排除に乗り出す
  • 大平氏が株主総会で役員を解任、新役員人事を通す
  • 新役員らもまた反大平派になる

というパターンであることが分かります。

大平氏が「自分の言うことを聞く役員」をせっせと送り込んでも、その度に新役員たちは反大平派になって創業家排除を行おうとします。

それは何故でしょうか?

雪国まいたけ現役員が、銀行サイドについてしまう理由

雪国まいたけ社は2014年3月期は黒字化されたものの、ここ数年の経営成績・財務状態は決して良いとは言えません。

同社に融資をしているメインバンク第四銀行などの取引銀行は、雪国まいたけに経営を立て直してもらって、しっかりと返済してもらいたい、こう考えます。

そして、雪国まいたけの経営再建のためには、創業者である大平氏の影響力を排除し、より合理的でコンプライアンスを遵守した形での経営がなされる必要がある。

創業者一族の経営への影響力を排除するためには、まずは同社の役員たちを自分たち銀行側に引き入れよう。

こういう流れで、大平氏が送り込む役員たちは、徐々に取引銀行サイドについてしまうのでは?と考えます。

そして、同社の役員達を自分たちの陣営に引き入れた後、

第四銀行などの銀行サイドは、これまでに無かった行動に出ました。

それが、TOB(株式公開買い付け)です。

雪国まいたけTOBは、創業家一族から株式を奪い経営から排除するのが目的

内紛の経緯を見れば分かるように、創業者である大平氏サイドが雪国まいたけの株式の過半数を握っている限り、創業者排除は進みません。

そこで、今回行われようとしているのが、TOB(株式公開買い付け)です。

通常、上場企業の株式は市場で売買されますが、TOBでは市場外の相対取引で株式を買い集めることが出来ます。

そして、TOBで雪国まいたけの株式を買い集めるのが、米投資ファンドであるベインキャピタルというわけです。

TOBは相対取引ですから、買い手・売り手の合意があって初めて売買が行われます。

ベインキャピタルがTOBによって雪国まいたけの株式を買い集めるとして、創業家一族がその買い取りに素直に応じるのでしょうか?

普通に考えれば、売りませんよね。

では、どうやってTOBで雪国まいたけの株式を買い集めるつもりなのでしょうか?

そこで登場するのが、第四銀行などの取引銀行です。

第四銀行は大平氏の株式を担保としていた

実は、第四銀行などの取引銀行は、大平氏らに対する融資・貸付の際に、同氏らの持つ株式に担保権を設定していました。

株式を担保にしていれば、返済が滞った際に、その株式を取得することが出来ます。

そして、大平氏ら創業家は、銀行への返済が実際に滞っていたそうです。

ですから、第四銀行などの債権者は、担保権を行使すればいつでも雪国まいたけの株式を取得することが出来る状況にあります。

そしてその株式は、1,392万株で全株式の約40%にのぼると言われています。

第四銀行は担保権を行使して株式を取得した上で、TOBに応じる

今回、雪国まいたけ社から創業家一族を排除したい第四銀行など銀行団は、同社株式に設定した担保権を発動し、雪国まいたけの株式の40%を取得します。

その上で、ベインキャピタルが行うTOBに応じて、その株式を売り渡します。

そうすることで、創業家一族から株式を奪い、創業家の雪国まいたけ社経営に対する影響力を完全に排除することが出来るわけです。

ですから、今回のTOBの「黒幕」は第四銀行などの取引銀行である、ということが出来るかもしれません。

雪国まいたけTOBの スキームを簡単に示すとすれば、以下の通りになります

  • 第四銀行らが担保権を行使して、雪国まいたけ株式を創業家から取得
  • ベインキャピタルがTOBを実施
  • ベインキャピタルが同社の筆頭株主となり、子会社化する

 

ここまで、雪国まいたけTOBの背景とそのスキームについて見てきましたが、なんとなく

出来レース感

が否めません。

これって法的にOKなの!?

という感覚です。

雪国まいたけのTOBと第四銀行による株式取得は法的にOKか?インサイダー取引の可能性も。

大平氏は、自らが選んだ人物を取締役に選任するため、3月31日までに臨時株主総会の開催を請求し、実際に開催される見込でした。

しかし、2月23日に、雪国まいたけは今回のTOBに関するIR(投資家向け情報)を発表します。その内容を分かりやすく簡潔に言うと、

「ベインキャピタルが雪国まいたけのTOBする予定だって。ウチラ経営陣は賛成です。」

というものです。

そして、このIRが発表された同日に、第四銀行などの取引銀行が担保権を行使し、同社株式の40%近くを取得します(参照元:闇株新聞)。

ベインキャピタルと雪国まいたけ経営陣、銀行団が一致団結しているのが明確な、なんとも分かりやすいタイミングです。

仮に、雪国まいたけのTOBに関するIRよりも前に銀行団が担保権を行使して株式を取得した場合、インサイダー取引になる可能性があるため、銀行団はIR発表後に株式を取得したと考えられています。

この点について、ネット上では

2月23日付けIRではTOBが「予定」であり、雪国まいたけが「検討」しているとわざわざ強調されていたのは、第四銀行が未発表のTOBに応募するために担保権を行使して株式を取得してしまうとインサイダー取引の疑いが強くなるからと思われます。

ここからは専門的になり過ぎるので控えますが、第四銀行の株取得はインサイダー取引にあたる可能性があります(闇株新聞

と、第四銀行の雪国まいたけ株式取得はインサイダー取引なのでは?という意見もあります。

 

さらに、今回のTOBの法的問題は、インサイダー取引の疑いがあることだけではありません。

大平氏が開催を請求し、実際に3月31日までに開催される予定の臨時株主総会の存在です。

現経営陣・銀行団・ベインキャピタルとしては、

臨時株主総会が開催される前にTOBを行って、完全子会社しちゃおう

という目論見で、今回のTOBを迅速に行っています。

 

しかし、臨時株主総会はTOBが実施されても、3月中に開催されます。

そして、その株主総会には大平氏はまだ株主として参加し、議決権を行使することが出来ると考えられます。

なぜなら、開催される臨時株主総会で議決権を行使出来るかどうかを決める基準日は、2月3日であり、そのときはまだ大平氏は株式を所有していたからです。

つまり、TOB実施後に開催される臨時株主総会では、大平氏は株主としての主張を通すことが出来るわけで、その際に今回のTOBに関して何らかの主張・請求をするかもしれません。

そうなると、TOBの無効、つまり株式譲渡の無効の訴えを起こすことになる可能性も否定できません。

 

まだテレビのニュース番組などで、今回の雪国まいたけのTOBについて大々的に報道されていませんが、今後、裁判に発展するなどすれば、意外に注目を浴びるかもしれません。

続報に注目したいと思います。


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