広島カープが行った「買いたたき」とは?どういう意味?

広島カープ02

広島カープが行った買いたたき消費税の関係って?(画像:広島市民球場)

 オープン戦も始まって、徐々に2015年シーズンの開幕が待ち遠しくなってきているプロ野球ファンは私だけではないはず。

なかでも、広島カープは、元ニューヨークヤンキースの黒田博樹投手が復帰して、開幕投手争いなどで大きな注目を集めています(広島カープの2015年開幕投手の予想については、『広島の2015年開幕投手は前田健太か黒田博樹か?予想してみる』の記事で取り上げていますので、よろしければどうぞ)。

そんな中、広島カープが、悪い意味で注目を集めてしまいました。

それが、「買いたたき」という行為です。

「カープが買いたたき」という見出しを見て、「安く選手を買いたたいているの?確かに広島の選手の年俸は低めだけど・・・。」と思いましたが、そうではなく、グッズ販売・仕入れの話でした。

(上記画像引用元はこちら

広島カープが行っていた「買いたたき」について伝えるニュースがこちら↓(一部引用。引用元:Yahoo!ニュース

プロ野球球団の広島東洋カープ(広島市)が、ファン向けに販売するタオルやユニホームなどのグッズの納入業者に対し、消費税増税後も価格を据え置く「買いたたき」を行ったとして、公正取引委員会は26日、消費税転嫁対策特別措置法に基づき再発防止を勧告した。

・・・中略・・・カープはグッズの仕入れ先である全国13都府県の100業者に対し、約2000商品について、消費税が8%に上がった昨年4月以降も5%時点の代金に据え置いて納入するよう要請。34業者が応じていた。

昨年2014年4月に消費税が5%から8%に上がりましたが、我々消費者が買う場合だけでなく、当然ですが企業が商品を買う場合にかかる消費税も税率が8%に上がっています。

広島カープが球団のグッズ販売のための仕入れを納入業者から行う際に、8%の消費税込の価格ではなく、増税前の消費税5%の価格で購入する、「買いたたき」を行っていた、ということです。

「買いたたき」を受けた企業にとってみれば、増税前よりも利益が3%も減る計算になるため、業績に悪影響を及ぼします。増税前に利益・損失トントンだった企業が買いたたきを受けた場合、即、赤字転落です。

そもそも、「買いたたき」とは何?「買いたたき」ってどういう意味?という点についてリサーチしてみましたので、シェアさせてください。


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消費税が関係する買いたたきとは?どういう意味?

まず、買いたたきについて理解するためには、消費税の仕組みを理解する必要があります。

そこで、消費税の仕組みについて簡単におさらいします。

消費税の最終転嫁者は「消費者」。だから「消費税」という名前。

例えば、ある業者(企業A)が材料を54円(税込)で仕入れ、商品を製造して、納入先(小売大企業B)に108円(税込)で納入したとします。

そして、小売大企業Bは一般消費者にその商品を216円(税込)で販売しました。

このとき、企業Aは、消費税を4円支払い、消費税を8円受け取っていることになります。一方、小売大企業Bは、8円の消費税を支払い、16円の消費税を受け取っていることになります。

企業Aは、受け取った消費税8円と支払った消費税4円の差額:4円を国に納め、小売大企業Bは、受け取った消費税16円と支払った消費税8円の差額:8円を国に納めます。また、企業Aに材料を納入した企業も4円の消費税を国に納めます。

企業A、小売大企業B、材料を納入した企業が国に収めた消費税の額は、合計で16円となります。

一般消費者が支払った金額216円に含まれる消費税16円分は、このようにして、一旦消費税を受け取った企業が国に収めているわけです。

つまり、最終的に消費税を負担するのは、商品を購入した消費者ということになります。だから、消費税は「消費」税という名前なのですね。

これが、消費税の仕組みです。

このように、企業は、販売先から受け取った消費税の金額と、仕入先に支払った消費税の差額を国に納めています。

消費税増税に関する買いたたきとは?

例えば、上の例で小売大企業Bが、消費税増税のタイミングでこう言い出したらどうでしょうか。

「これからもウチに買ってほしかったら、今までどおりの金額で納入してね。断ったら切るよ。代わりの業者はいくらでもいるんだからね。」

つまり、消費税増税にともなって小売大企業Bに対する販売税込価格は108円になるはずなのに、今までどおりの金額105円で納入しなければならない。断ったら、得意先を失ってしまう。

これに応じることは、実質的な値下げとなる。

これが、「買いたたき」です。

企業Aにとってみれば、材料仕入先に支払う消費税額は8%なのに、小売大企業Bから受け取れる消費税は5%のまま。

これでは、利益が圧迫され、キャッシュ・フローも悪化してしまいます。

体力の無い会社で、少数の得意先に依存しているような会社であれば、買いたたきに応じると、資金繰りが悪化して倒産してしまうリスクもあります。

買い手の力の方が強い。だから買いたたきが起こる

このように、「買いたたき」は納入業者にとって最悪の事態で不当な要求ですが、今回の広島カープの買いたたきが露見したように、実際に起こっているようです。

では、なぜ買いたたきは起こってしまうのでしょうか?

それは、納入業者と買い手企業の力関係に原因があります。

よほど魅力的であったり稀少性のある商品・製品でない限り、通常、買い手の方が力関係が強いのが一般的だからです。

今回の場合、広島カープが仕入れていたグッズはタオルやユニフォームの類ですが、タオルやユニフォームを製造できる企業はたくさんあります。広島カープにとってみれば、選択肢はいっぱいある。だから、買い手である広島カープの力の方が強くなってしまう。

その結果、不当な買いたたきが起こってしまうと考えられます。

では、このような不当な買いたたきを、国は放置しているのでしょうか?

買いたたき防止のための法律・通報制度がある

国も馬鹿ではないので、このような買いたたきが生じる危険性は重々承知です。

ですから、買いたたきを禁じる法律「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」を定めて、買いたたきを防ごうとしています。

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法の内容

「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」という超長ったらしい名前の法律ですが、定めていることは超まともです。

一部引用します(引用元:公正取引委員会HP

(特定事業者の遵守事項)

第三条 特定事業者は、平成二十六年四月一日以後に特定供給事業者から受ける商品又は役務の供給に関して、次に掲げる行為をしてはならない。
一 商品若しくは役務の対価の額を減じ、又は商品若しくは役務の対価の額を当該商品若しくは役務と同種若しくは類似の商品若しくは役務に対し通常支払われる対価に比し低く定めることにより、特定供給事業者による消費税の転嫁を拒むこと。
二 特定供給事業者による消費税の転嫁に応じることと引換えに、自己の指定する商品を購入させ、若しくは自己の指定する役務を利用させ、又は自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
三 商品又は役務の供給の対価に係る交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の特定供給事業者からの申出を拒むこと。
四 前三号に掲げる行為があるとして特定供給事業者が公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。

長ったらしくて分かりにくい文章ですが、要は簡単に言えば、

  • 消費税の転嫁を拒んではダメですよ。つまり買いたたきはしちゃいけませんよ。
  • 「転嫁に応じるけど、その代わりウチの商品絶対買ってね♪」というのもダメですよ。
  • 「国にチクったら、お前のところとは一切取引しないから。」というのもNGですよ。

ということになるかと思います。

なんか、買いたたきを防止する国の本気度が伝わってくる内容です。超まともです。

買いたたきは、このような法律によって禁じられていますが、それでも転嫁拒否などの買いたたきが起こることは国も想定済みです。

ですから、買いたたきに関する国への通報制度を設けています。

それが、「消費税の転嫁拒否等の行為等に係る相談・違反情報の受付窓口」という、またもや長ったらしい名前の通報窓口です。


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消費税の転嫁拒否等の行為等に係る相談・違反情報の受付窓口の連絡先はこちら

買いたたきを通報する際には、「消費税の転嫁拒否等の行為等に係る相談・違反情報の受付窓口」(別タブで開きます)に連絡すればOKです。

各地域に窓口があるので、それぞれの地域に合わせた窓口に通報すれば良いみたいです。

「チクったのがバレて得意先に怒られたら、マズイことになるからなぁ・・・・」

と思っている場合には、上で紹介した法律の第4項を思い出しましょう。

四 前三号に掲げる行為があるとして特定供給事業者が公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。

チクったのがバレたとして、得意先に不当な取扱を受けた場合も、れっきとした法律違反です。

この場合、

  • 買いたたきをした時点で法律違反
  • 通報に対する報復措置を行ったことも法律違反

となりますから、ダブルで法律違反となります。

国も黙ってはいませんし、メディアにも大きく取り上げられることになります。そうしたら、その得意先のイメージダウンは免れません。

買いたたきを受けそうになったら、上記の法律と通報制度の存在を得意先担当者に伝えましょう。引き下がってくれるかもしれません。

広島カープの買いたたきには悪意はあったか?

さて、話を広島カープに戻します。

広島カープは、ここまで説明したような不当な「買いたたき」行為を行っていたわけですが、悪意はあったのでしょうか?

これは私の想像ですが、税制・法律に対する知識不足からくるものだったのでは?と思います。

カープ担当者「4月から増税ですねー。ダメ元でお願いするんですけど、4月からも同じ価格で納入してくれませんか?長年の付き合いですし、これからもオタクで買いますから!お願いします!」

納入先「え・・・。まぁ、カープさんのお願いとあってはしかたないですね。今後ともよろしくお願いします。」

みたいな。

日本に特有の、なあなあの持ちつ持たれつの商慣行です。

 

ニュース記事にも、

勧告を重く受け止め、法令の理解をより一層深め、再発防止に努める。

とあります。つまり、法令の理解が足りていなかったことを示唆しています。

 

買いたたきは零細企業の資金繰りを悪化させる不当な行為ですから、「知らなかった」ですむ問題ではありませんが、

広島カープには良いイメージがあるので、少なくとも悪意は無かったと信じたいですね。

あなたはどう思われますか?


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